○檮原町四万十川の保全及び振興に関する基本条例
平成14年3月25日
条例第22号
目次
前文
第1章 総則(第1条~第4条)
第2章 四万十川の保全及び振興
第1節 基本方針(第5条)
第2節 水環境の保全(第6条~第8条)
第3節 景観の保全(第9条)
第4節 生態系の保全(第10条)
第5節 人と川との関わりの文化の継承(第11条~第14条)
第6節 公表等(第15条・第16条)
第7節 振興(第17条)
第8節 推進体制(第18条・第19条)
第3章 雑則(第20条)
附則
日本最後の清流と称される四万十川。
この川と供にある流域の生活、文化及び歴史を、後世に引き継ぎ伝えていくためには、上流から下流まで流域全体の者が、長期的な視点で流域の水環境及び空間を豊かにし、それを連続させてゆかなければならない。
四万十市、四万十町、檮原町、中土佐町及び津野町の流域市町は、この責務を自覚し、未来に向かいこの貴重な自然を保全し、四万十川と共にある文化環境をつくるため、この条例を制定する。
第1章 総則
(目的)
第1条 この条例は、流域市町が四万十川保全の共通認識を持って、四万十川の保全及び振興に関する方策を定め、水環境、景観及び生態系の保全を基礎とした生活、文化及び歴史の豊かさの確保並びに持続的な発展を目指した振興を図り、もって四万十川の恵みを後世に引き継ぐことを目的とする。
2 この条例において「流域市町」とは、四万十市、四万十町、檮原町、中土佐町及び津野町をいう。
3 この条例において「他の流域市町村」とは、四万十川の集水地域に存する市町村のうち流域市町以外のものをいう。
(共通認識)
第3条 町は、次に掲げる事項を流域市町相互の共通認識(以下「共通認識」という。)として、施策を推進するものとする。
(1) 水環境、景観及び生態系を将来にわたって適切に維持すること。
(2) 全ての生き物の生態が相互につながり、生活、産業その他の人の活動も自然の循環の中で営まれていることを十分理解し、尊重すること。
(3) 人の活動が自然に負荷を与えていることを認識し、人と自然との共生を図ること。
(4) 四万十川の保全及び振興に関し、地域の実情に応じた取組を進めること。
(5) 四万十川の保全及び振興に関し、住民その他関係者の積極的な参加が促進されるよう、必要な情報を提供すること。
(町等の役割)
第4条 町は、共通認識にのっとり、流域市町及び県と相互に連携して次に掲げる事項が実現されるよう、四万十川の保全及び振興に関し、自然的・社会的条件に応じた方策を策定し、実施するものとする。
(1) 四万十川の水量が豊かで、かつ、清流が保たれていること。
(2) 四万十川に天然の水生動植物が豊富に生息し、又は生育していること。
(3) 四万十川の河岸に天然林が連なり、良好な景観が維持されていること。
(4) 人工林が適正に管理され、天然林とともに多様な森林が形成されていること。
(5) 優れた農山村景観を有していること。
(6) 人と川とのかかわりの文化が保たれていること。
(7) 町民の安全かつ快適な生活が保たれていること。
(8) 四万十川が子供たちの遊びの場として活用されていること。
(9) 四万十川に負荷を生じさせることなく、地域の社会及び経済が持続的に発展していること。
2 町民は、四万十川の保全及び振興に自ら努めるとともに、前項に掲げる事項が達成されるよう、町が実施する四万十川の保全及び振興に関する方策に協力するものとする。
3 事業者は、事業活動を通じて四万十川の保全及び振興に寄与するように自ら努めるとともに、第1項に掲げる事項が達成されるよう、町が実施する四万十川の保全及び振興に関する方策に協力するものとする。
第2章 四万十川の保全及び振興
第1節 基本方策
第5条 町は、流域市町が相互に協力して前条第1項に掲げる事項を実現するため、次に掲げる基本方策の実施のほか、その他の方策との有機的な連携を図りつつ、四万十川の保全及び振興方策を総合的に推進するものとする。
(1) この条例に基づく方策の効果的な推進を図るため、流域市町相互間における連絡調整を行うものとし、このために必要な組織を構成すること。
(2) この条例に基づく方策の成果を把握するための指標(以下「指標」という。)を流域市町相互間において連絡調整の上定め、一定の期間ごとにその達成度を調査・分析し、方策の必要な改善及び実施に努めること。
(3) 町が実施する事業について、計画から実施及び管理までの段階ごとに水環境、景観及び生態系の保全への配慮が適切に行われるよう、次に掲げる事項で構成される環境配慮指針(以下「指針」という。)を定めること。
ア 指針の適用範囲及び対象とする事業(以下「対象事業」という。)
イ 全ての対象事業に適用する共通配慮事項
ウ 対象事業並びに高知県四万十川の保全及び流域の振興に関する基本条例(平成13年高知県条例第4号)に規定する清流・水辺・生き物回廊地区、景観保全・森林等資源活用地区、人と自然の共生モデル地区、原生林保全地区及びこれら以外の地域ごとに定める個別配慮事項
エ その他指針に関し町長が必要と認める事項
第2節 水環境の保全
(1) 公共下水道、農業集落排水施設その他生活排水浄化施設の整備
(2) 公共下水道及び農業集落排水処理施設からの排出水についての流域市町村共通の水質基準の設定
(3) 生活排水浄化施設の整備を促進するための情報提供等
(4) 高度処理型合併処理浄化槽設置への支援
(5) 調理くず及び廃食油の適正な処理、洗剤の適正な使用等
(産業活動に伴う負荷対策)
第7条 町は、産業活動による四万十川への負荷を軽減するため、次に掲げる措置を講ずるように努めるものとする。
(1) 土壌汚染、濁水及び悪臭を伴う排出水の流出防止
(2) 環境保全型農業の促進
(3) 家畜のふん尿の処理施設の設置、土壌還元その他の方法による適正処理の促進
(4) 適正な森林管理の促進
(野外活動対策)
第8条 町長は、野外活動等によるごみの散乱及び水質の汚染の防止並びに町民の良好な生活環境の保全を図るため、キャンプ場を指定することができる。
2 町は、前項の規定により指定したキャンプ場の給水施設、排水施設その他の施設の整備に努めるものとする。
3 町は、公共の場所において野外活動を行う者が、四万十川に調理くず、油、洗剤その他四万十川の水質及び景観に支障が生じるおそれのあるものを排出しないよう必要な方策を講ずるように努めるものとする。
4 町は、四万十川の川原にみだりに車両が進入することのないよう必要な方策を講ずるように努めるものとする。
第3節 景観の保全
第9条 町は、町民、事業者又は旅行者の行為によって自然景観及び文化景観の保全上支障が生じないよう物の集積又は貯蔵、自動販売機、及び照明設備の設置並びに、騒音防止への配慮その他の行為が適正に行われるために必要な方策を講ずるように努めるものとする。
2 町は、農用地、森林その他の土地の適切な管理に基づき農林業生産が維持され、育まれてきた文化景観の保全上支障が生じないよう耕作放棄地の発生防止、森林整備に関する協定の締結その他の必要な方策を講ずるように努めるものとする。
3 町は、町民、事業者及び旅行者が公共の場所において、飲食料の容器、たばこの吸い殻その他のごみ又はふん尿をみだりに捨て、散乱させ、又は放置しないよう必要な方策を講ずるものとする。
第4節 生態系の保全
第10条 町は、四万十川にふさわしい生態系を保全するため、必要な方策を講ずるように努めるものとする。
第5節 人と川との関わりの文化の継承
(文化の継承)
第11条 町は、四万十川を軸に営まれてきた人と川との関わりの文化を継承するため、必要な方策を講ずるように努めるものとする。
(住民の育成)
第12条 町は、四万十川の保全及び振興に取り組む住民を育成するため、必要な方策を講ずるように努めるものとする。
(四万十川環境推進員)
第13条 町長は、人と川との関わりに関する事項を推進し、四万十川の保全及び振興に資するため、四万十川環境推進員を置くことができる。
(環境教育)
第14条 町は、四万十川とのふれあい等による環境教育の推進のため、必要な方策を講ずるように努めるものとする。
第6節 公表等
(公表)
第15条 町長は、四万十川の保全及び振興のために講ずる方策及び講じた方策並びに指標その他これらに関する事項を毎年1回、町の広報誌等において公表するものとする。
(情報提供)
第16条 町長は、流域市町と相互に連携し、関係団体及び町民が、四万十川の保全及び振興に関する課題の解決に自主的に取り組むために必要な情報を適切に提供するものとする。
第7節 振興
第17条 町長は、四万十川に負荷を与えないような振興を図るものとし、かつ、流域市町と相互に連携した振興方策の推進に努めるものとする。
第8節 推進体制
(国等との協力)
第18条 町は、四万十川の保全及び振興に関する方策について、国、県、流域市町及び他の流域市町村と協力して推進するものとする。
(財政措置)
第19条 町は、この条例の目的を達成するため、四万十川の保全及び振興に関する取組を恒常的に実施するための財源の安定的な確保に努めるものとする。
第3章 雑則
(委任)
第20条 この条例の施行に関し必要な事項は、規則で定める。
附則
この条例は、平成14年4月1日から施行する。
附則(平成18年条例第26号)
この条例は、平成18年3月20日から施行する。