○檮原町森林づくり基本条例

平成12年9月19日

条例第8号

目次

前文

第1章 総則(第1条~第7条)

第2章 基本的施策

第1節 森林の有する機能の高度発揮に関する施策(第8条~第11条)

第2節 林業の持続的な発展に関する施策(第12条・第13条)

第3章 森林づくり会議(第14条・第15条)

附則

緑深き山々に囲まれた町に住む私たちは、遠い昔から計り知れないほどの恩恵を森林から受けながら生活を送り、山の民としての伝統文化を築き上げてきた。

森林は、檮原町の基幹産業である林業を支え、四万十川にきれいな水を安定的に供給し、急峻な地勢のもとで山崩れを防ぎ、民俗文化を育むとともに、森林独自の生態系を形成して数多くの野生生物を生息させ、人々の保健・文化・教育に大きく寄与してきた。更には、人類共通の課題である地球の温暖化防止や地球環境の保全に大きな役割を果たしている。

檮原における森林は、自然的、経済的及び社会的資源として極めて重要な位置付けとされてきたことから、先人は、森林を利用するとともに生態系をより豊かにするための管理を行うなど、森林を常に良好な状態で保ち続ける努力を積み重ねてきた。

しかし、近年、私たちは、先人が進めた明治時代の「不要公課村構想」や、戦後の乱伐による荒廃した山を甦らせ、ふるさとの繁栄を願った「植樹栄郷」といった森林との関係や山の民としての心を忘れ、木材を始めとする林産物によって森林から受ける経済的利益を第一義として森林の価値を考えてきた。

今、私たちは、山の民としての自覚を新たに、先人が築いてきた森林との共生関係を見直し、森林の有する多様な機能を重視した森林づくりを行うことにより、かけがえのない森林を健全な状態で後世に継承していかなければならない。

ここに、檮原町が目指す森林づくりの理念と基本方向を明らかにし、将来にわたって豊かな森林の維持とより豊かで住み良い町づくりを実現するため、この条例を制定する。

第1章 総則

(目的)

第1条 この条例は、檮原町における森林づくりに関する施策について、基本理念及びその実現を図るために基本となる事項を定めること等により、超長期にわたる森林経営を目指した森林づくりに関する施策の推進を通じて将来にわたり豊かな森林を維持し、もってより豊かで住み良い町づくりを実現することを目的とする。

(森林の有する機能の高度発揮)

第2条 森林は、木材その他の林産物を供給する経済的な機能(以下「経済的機能」という。)のほか、水源のかん養、国土の保全、自然環境の保全、文化の伝承、保健休養の場の提供、教育への寄与、地球温暖化の防止、良好な景観の形成等の多様な機能(以下「多様な機能」という。)を有しており、町民の生活及び経済の安定に重要な役割を果たしていることにかんがみ、将来にわたって、これらの機能が適切かつ十分に発揮されなければならない。

(林業の持続的な発展)

第3条 林業については、その経済的な側面により多くの森林が保全されていることにかんがみ、将来にわたって森林の有する経済的機能及び多様な機能が適切かつ十分に発揮されるよう、森林生態系の保全に配慮した適切な経営管理により、その持続的な発展が図られなければならない。

(町の責務)

第4条 町は、第2条及び前条に定める基本理念(以下「基本理念」という。)にのっとり、檮原町に存する民有林について、森林づくり(森林について、自然的、経済的及び社会的資源として持続的に利用し得るよう保全し、又は管理することをいう。以下同じ。)に関する施策を総合的に策定し、及び実施する責務を有する。

2 町は、檮原町における森林及び林業に関する情報の提供等を通じて、町民はもとより町外の人々が基本理念に関する理解を深めるよう努めるものとする。

(事業者の努力)

第5条 檮原町における森林づくりに関係する全ての事業者は、森林づくり及びこれに関連する活動を行うに当たって、基本理念の実現に主体的に取り組むよう努めるものとする。

(町民の役割)

第6条 町民は、基本理念に関する理解を深め、檮原町における森林づくりの推進に積極的な役割を果たすものとする。

(森林の存する土地を取引しようとする者の努力)

第7条 森林の存する土地を取引しようとする者(町民、森林づくりに関する全ての事業者を含む。)は、基本理念に基づく町の施策の円滑な推進に協力するとともに、その施策推進に支障を及ぼすことのないよう町への情報提供に努めるものとする。

第2章 基本的施策

第1節 森林の有する機能の高度発揮に関する施策

(森林の有する経済的機能の高度発揮)

第8条 町は、森林の有する経済的機能の高度発揮を図るため、木材その他の林産物が町内で加工され、利用されることを促進する施策を講ずるとともに、木材その他の林産物の生産に関する森林の整備の促進に必要な施策を講ずるものとする。

(森林の有する多様な機能の確保)

第9条 町は、森林の有する多様な機能を確保し、及びその機能を総合的に向上させることを促進する施策を講ずるものとする。

2 町は、森林の有する多様な機能が特に重要と認められる森林について、森林所有者及び町民の協力を得て多様な機能を発揮させるための支援を行うこと等により、必要な施策を講ずるものとする。

(森林生態系の保全)

第10条 町は、時代とともに希少性が増している檮原町の森林における生態系の重要性にかんがみ、その保全を図るため必要な施策を講ずるものとする。

(適切な森林管理)

第11条 町は、将来にわたって森林の有する経済的機能及び多様な機能がより高度に発揮されるよう、森林ごとに適切な管理を推進するために必要な施策を講ずるものとする。

第2節 林業の持続的な発展に関する施策

(林業の基盤整備)

第12条 町は、檮原町の森林の特性を生かしつつ、林業の生産性の向上を図るため、生産基盤の強化の促進に必要な施策を講ずるものとする。

(人材の育成及び確保)

第13条 町は、檮原町の森林において林業経営を担うべき人材の育成及び確保を図るため、林業者の林業技術及び経営能力の向上、新たに就業しようとする者に対する林業の技術及び経営方法の修得の促進その他必要な施策を講ずるものとする。

第3章 森林づくり会議

(森林づくり会議の開催)

第14条 町長は、森林づくりに関する施策を円滑に推進するため、必要に応じて森林づくり会議を開き、事業者及び町民の意見を聴くものとする。

(委任)

第15条 森林づくり会議の組織及び運営に関し必要な事項は、町長が定める。

(施行期日)

この条例は、公布の日から施行する。

(平成20年条例第8号)

この条例は、平成20年4月1日から施行する。

(平成23年条例第24号)

この条例は、平成23年4月1日から施行する。

檮原町森林づくり基本条例

平成12年9月19日 条例第8号

(平成23年4月1日施行)